※中2の時のバレンタイン仕様。未完成。




日曜日といえば、学校は概ね休校日であり、ここ氷帝学園も例に漏れず、本日日曜は登校日では無い。
だが、生徒数が極めて多く、部活動にも力を入れている氷帝は、休日と言えどその敷地内に生徒の姿が絶えない。
で、あるからして、賑やかなのは何も不思議なことではない。

ないのだが。


「だぁぁぁぁぁぁぁーーーっ!!もう、うるっせぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


ついに痺れを切らした宍戸が、ギャラリーに向かって怒鳴り声を上げた。



本日日曜、2月14日。





ギブミー!





「こんなんじゃ練習に集中できねぇよ!」
「なんでよりによって、合同練習が今日なんだろうね…」

苛々と髪をかき回す宍戸の横で、滝もうんざりとため息を漏らす。
そうして見渡せば、テニスコートの周りに群がる、人・人・人。
しかも全部女子。
彼女たちのお目当ては勿論、

「「「忍足くーん!頑張ってー!!」」」
「「「芥川君かわいいいーっ」」」
「「「鳳くんカッコイイ!!!」」」
「「「忍足先輩…素敵…」」」
「「「きゃぁぁぁぁ!!日吉くーん!!!」」」


さざめく黄色い声。
これはもう、賑やかというより騒音レベルだ。
普段から、男子テニス部のファンが練習風景を見ていたりするが、なんというか、今日はとにかく――凄まじい。

恐るべし、バレンタイン。


「これ、日曜だからまだ少ない方なのかなぁ。平日だったらこの倍は集まるんじゃない?」
「ありえねぇ…去年もこんなだったっけ?」
「去年は忍足たちも一年だったしねー。レギュラーじゃなかったし、知名度は低かったよね」

つらつらと分析を始めた滝が、それに、と言い置いてニヤリと笑う。

「イケメンの後輩達が入ってきたし?特に亮のカレシ、大人気じゃん」
「っな、」

動揺する宍戸の視線の先で、鳳がギャラリーに苦笑を向けると、一層高い歓声が上がった。

「まぁ、長太郎は亮にベタ惚れなのが丸分りなうえ、付き合ってることは周知の事実ってやつだから、本気の子は少ないかも」
「なんだそれ、アイドル的存在とか言いたいのか」
「え、何、僕今惚気られてる?俺の長太郎はアイドル級だぜフフンって自慢されてる?」
「ちっげぇぇぇぇよ!なんでそうなる!?」

騒がしさにストレスゲージがぐんぐん上昇しているらしい宍戸は、いつもより若干怒りっぽくなっている。
何やら喚いている彼女を軽くいなして、滝は次に忍足を見た。

「一番凄いのは、やっぱり忍足だね」

忍足には今、特定の彼女はいない。
とは言っても、以前にはいたのかと言われればそうとも言えない。
つまりは、「お遊びの相手」なら、常時何人もいる、ということ。
彼女にしてもらいたい、と思っている子もいれば、遊びでもいいから傍にいたい、という子もいるだろう。
跡部を狙っているらしい、という噂はあるものの、何せ遊び人の彼のこと、と本気にしていない人が多い。
よしんば本気だったとしても、ターゲットが“あの”跡部景吾とくれば、二人が交際を始めるなどありえない。というのが大多数の意見だ。

忍足がちらりと視線をくれただけで、そこら一帯から絶叫が。
お嬢さん方の熱い眼差しが、本気過ぎて怖い。
そして、ブチッと血管が逝きそうな表情の宍戸がめんどくさい。と滝は思った。
そこら辺の女子に当たりだしたら、止めに入るのは自分なのだろうか。
頼むから、景か岳人に早く来てもらいたい。

そんな滝の願いが通じたかどうかは定かではないが、ベンチを通り抜けてコートに降りてくる姿があった。
跡部だ。
声の波が、少しだけ引いていく。
周囲の状況など、当然跡部にはわかっているに違いない。
だが、全く気にもかけず、彼女は忍足に歩み寄った。

「忍足」
「ん?」

声を張らなくても、跡部のそれは凛と響く。

「この後の練習メニューなんだが――」

誰もが意図せず、二人の様子をじっと観察しているのが、滝にはわかった。

白地にアイスブルー、7本の線のみを描いたジャージはシンプルだが、端整な顔立ちと冷静な振る舞いの忍足にはよく似合っていた。
烏羽色と表現するのに相応しい黒髪が、跡部の言葉に頷くのに合わせて、襟元で揺れる。
ふと口元に浮かんだ微笑は、呆然としてしまうほど美しい。
対する跡部も、上は全く同じジャージを着ている。まるで跡部の為にデザインされたかのような、彼女の瞳と同じ色のそれが、似合わないはずも無く。
そして下は、白いスコート。寒い季節だが、女子レギュラー陣はあまり下のジャージを履くことはしないのだ。
すらりと伸びる脚は、どこをどう見ても完璧としか言いようがない。
人形のように綺麗な顔が、バインダーから目線を上げて、忍足を仰ぎ見る。
なんてバランスの良い身長差だろうか。
対照的な容姿の色彩も、お互いの端麗さを消してしまうこと無く、却って引き立て合うかのよう。
立ち居振る舞いも、両者とも自信と知性に溢れている。

とにかく絵になる二人だ。
オーラがある、とでも言おうか。
一人ずつでも強烈なのに、二人揃うと、目が離せない。

打ち合わせが終わったのか、二人が離れてそれぞれ召集をかけた。
同時に、呪縛が解けたようにギャラリーもざわめきだす。
















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ここまでです!!
バレンタインの頃に書いていたものです…。おもいっきりとちゅうですすみません…。
おっかしいなぁ〜。初めは可愛らしい話にするつもりだったのになぁ〜(タイトルにその名残が…)

たまには、めちゃくちゃかっこいい忍足を書きたい
 ↓
そういえば、忍足ってLFではプレイボーイの設定だったじゃないか!
 ↓
だったら女の子にキャーキャー言われてる忍足を!
あとなんか、容姿がテラ良いんだってことを主張したい!
 ↓
忍足を褒めたら、景ちゃんも褒めずにはいられないだろjk…
 ↓
あるぇー?軌道修正が…できないんだぞ…☆


こんなんでも、一応足掻いたんだ…っていう証を…残したくて…
大人しく、「跡部ーチョコくれへんの?」「誰がお前なんかにやるか。そこらへんの女子にでももらってろ」「え、なにやきもち?」
「もうこいつマジやだ…」「照れるなや〜かわええなぁ」 「俺は本命にしか用意しない。よって健太郎にしかあげない(ニヤリ)」「…へぇ(負のオーラ全開)」
っていう感じの、アレでソレなのにすれば良かったかなぁー


10.03.07 涼河