06:言い訳は最後の切り札


そうだ、これでいい。

「…言い訳もなしか」

これが、最後の切り札。

「言い訳?必要ねぇよ」

お前が俺を見放すための、最適で最悪な方法。

「飽きたんだよ。もう、お前には」
「…」
「知ってただろ?俺がこうゆう奴だってこと」

こうでもしなきゃ。

「違う」
「何が違うって?」
「お前はそんな奴やない」



こうでもしなきゃ、お前、自分の夢を捨ててまで俺の傍にいるだろう?

とんだ自惚れ野郎だと人は言うかもしれないけれど。











「―――はっ!何?俺のことわかったつもりになってたとでも?」
「景吾」
「俺が、お前と、いっちょまえにレンアイしてたとでも?」
「景吾!」
「悪いけどな、そんなの、表向きだけだ。珍しいアソビに夢中になってただけ―――」

「ッ!」


それが現実になると俺は知っている。


「…殴りたきゃ殴れ」


誰よりもお前を愛しているから。












「お前………最低やな」









お前が、全てを擲って俺を選ぶこと、哀しいくらいわかってる。



だから。

なぁ、珍しく俺がお願いするんだ。









気付かないまま、俺を嫌ってくれよ。

























「(すきだ)」




















背中を追う、言霊にもならないこの想いこそが














ああ


俺を生かす、








(最後の切り札なんだ)