★ ROUND11:前向きなラッキーボーイ ★



「ね、これから皆でお茶しよーよ!」

あいさつが一通り終わると、千石がそう提案した。

「いやいやいや!!お二人の邪魔をしては悪い…!」

東方がそう言いながら首をちぎれんばかりにブンブンふると、他のフリーズしてた奴等も同じような動作をした。
なんだか奇妙な光景だ。

「え、どうしたんだよ急に?!」

南がその様子に少々驚きつつ、4人を再び誘う。
南にしてみれば、大人数にこしたことはない。
千石の目の輝き具合からして跡部の身がアブナイ。

「景も構わないだろ?」

「別にかまわねぇよ。」

「あーでもでも悪いです!俺ら帰ります!」

室町がそう言うと他の3人と一緒に逃げるように帰っていった。跡部の美しさにあてられたか…。
その様子をみて跡部が「おもしれぇ奴等だな」とか言った。

「さて、じゃ今日は3人でお茶しよー!」

いつもよりテンション高めな千石が南と跡部の間に割り込んで二人の背中を後ろから押した。

(あっちゃー…会わせるべきじゃなかったかな;)

南の不安をあおるように背中はグイグイ押されていった。



「あ、テニス部なんだ?!俺と一緒じゃん!ってか俺も下の名前で呼んでいい?景ちゃんて!」

跡部がそれに答える前に千石が続ける。

「てかマジでかわいいよねーv南の恋人じゃないみたい!」

「そりゃねーだろ千石!」

「アッハハ!メンゴ☆」

信じられないくらいの勢いで喋りまくる千石に南は圧倒され気味だった。
跡部はというと…深い深いしわが眉間に刻まれていた。
跡部はこういうヘラヘラした奴は好きではない、というかむしろ嫌いだ。
南はそれに気付いてどうにか千石を落ち着かせようとするが千石はとまらなかった。

「つーかさ、南のドコに惚れちゃったワケ?!南が地味'sって呼ばれてるの知ってる?」

千石がそう言い終った後、ほんの少しあいた間に、南が滑り込む。

「…ちょっと千石、こっち来い。悪いな、景、ちょっと待っててくれ。」

明らかに機嫌の悪そうな跡部は、「ああ」とも返さない。

南は千石の腕をぐいと掴むと、そのままトイレの方にひっぱっていった。



「どういうつもりだよ?!」

「へ?何が?」

意味がワカリマセーンという風に千石が返した。

「……お前さぁ、もしかして景のこと狙ってる?」

「どうでしょーう?ホラホラ、景ちゃん待たせちゃ悪いじゃん?」

「あッ、待てよ!(つかその“景ちゃん”もやめた方が…)」

千石は南の静止を振り切ってトイレから出た。

「景ちゃんおっまたせー☆」

跡部は千石の方を見向きもしなかった。

「あれあれ?なんか不機嫌??」

千石が跡部の顔を覗き込むと、跡部が急に立ち上がった。

その時ちょうど席(?)に戻ってきた南は急に立ち上がった跡部を見て顔を青くした。

「け、景!ちょっと待っ…」



ざばばー…



「あっちゃー…」

南が手で目を覆った。

跡部が氷水を千石の頭にぶっかけたのだ。

「???」

千石は状況が飲み込めない。

「紅茶じゃなくてよかったと思え。南、帰るぞ。」

呆然とする千石を一瞥すると、跡部はそう言って去って行った。

「あ、ああ…。」

南は跡部にひっぱられるように帰る時、千石に「スマン、言うのが遅かった…」とだけ言って行った。

一人残された千石は、店員の「お客様大丈夫ですか…?」の声で我に返ると、

「やっぱ可愛すぎだよあの娘!すッごい好み!!」

と叫んで店を出て行った。



「よーし本気で行くぞー♪」




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えー…と。
甘い出会いを期待していた方はごめんなさい。
ふうたがキヨが大嫌いだから、という理由ではありません(笑)
むしろキヨはキラキラしいので悶えます(爆)
言い訳させていただきますと、跡部様のキヨの第一印象って、最悪だと思うのです。
初めてキヨを見たのが、テニスをしてるキヨだったら違うと思うのですが、
普通に出会った場合、跡部様にとってキヨはきっと理解不能で、
また好かないタイプだと思うのです。
これは女体でも普通のでも同じことを思ってます。 書いた当時もちょっとやりすぎたかな、と思いましたが;
(ROUND15までは流れが決まっているので変えられないのです。)
んまぁキヨはこれから巻き返してゆくのでご安心を(笑)
あ、このROUNDからはオフ未掲載分でございます。
タイトルどう決めたらいいかさっぱりわからない(泣)

05.02.19 ふうた