★ ROUND5:忍足VSジロー ★


「ジロー、起き。」

忍足が言葉を投げかけた相手は、屋上の固いコンクリートの地面をものともせず、気持ちよさそうに寝ていた。

ゲシッ

押したりは寝そべるそれの腹の辺りを蹴ってやった。
が、それでもピクリとも動かない。
もういっぺん蹴ったろか、と腹に足を乗せた時、足の下のものがやっと動いた。

「…いてぇ…誰…って忍足?…何か用?」

昼寝を妨害されたらしいジローは、明らかに不機嫌な様子だ。
その表情からはわからないが、忍足は忍足で不機嫌だった。

「ジロー、さっき跡部と何してたん?」

"さっき"とは1時限目終了後のことである。
岳人の嫌な予感は的中して、忍足はあの場面を見ていたのだ。
しかも、忍足は"跡部がジローを押し倒してる"ところしか見ていなかったのだ。
声の調子から、忍足が怒りを押し殺しているであろうことがジローにもわかった。
キレたら何をするかわからない、そんな感じがした。

「なんや、仲よさそうにしてたわなぁ?」

「あー、なんだ、見てたの。」

普通の人間なら忍足の出す殺気に負けてしまうのだろうが、
ジローはそんなことで怯む性格ではなかったし、
昼寝を中断させられたことで機嫌が悪くなっていて、
こちらもキレたら何をするかわからない感じだった。

「つかその足どかせよ。」

まだ忍足の足はジローの腹を踏みつけたままである。

「途中から跡部にちょっかい出しよって…。こら、本気でツブさなアカンみたいやなぁ?」

腹を踏みつけている足に体重をギリリ、とかける。

「足どかせって言ってんだけど。」

「……」

「……」

キーンコーンカーンコーン…

冷たい沈黙を2時限目終了を告げるチャイムが破った。
チャイムが鳴り止むと、ジローが口を開いた。

「もう景ちゃんと俺は忍足が見たとおりの関係なんだよね。つまりお前の負けってことだよ、忍足。」

「こンの…」

バタン!

忍足が抑えていた怒りが一気にあふれ出ようとしたその時、屋上の重い扉が勢いよく開かれた。
そして、そこに現れたのは…

「ジロー!見つけたぞ!覚悟しやがれ!!」

鬼神と見まごう程の跡部。
それを見てジローが慌てる。

「うっわ、見つかった!ちょ、マジでどいて忍足!!」

「は、はい…?」

状況が飲み込めず、呆然とする忍足。
跡部が忍足に「でかした忍足、その足どかすな!」と言うと同時に、
ジローは力ずくで押したりの足をどかし、逃げ出した。


「いいじゃん別に減るもんじゃないC〜!!」

と叫びながら屋上をぐるぐると逃げ回るジロー。

「減らねぇがタダじゃねー!!待ちやがれ!」

それをすごい勢いで追いかける跡部。
ただただ呆然とする忍足に、跡部を心配して追いかけてきた岳人が事情を話す。
すると忍足もジローを追いかけ始めたワケで…。


「3時限目始まるよ〜?!ねー、景ってばー!!けーいーー!!!」

そんな岳人の叫びは、むなしく秋の高い高い空に吸い込まれていくばかり。
遠くでチャイムの音が聞こえたが、三人には関係ないようだ。


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これは確かかっこいいジローを書きたいがために書いただけの話です…(滝汗)
ジロー好きなんですって…ば!!
このリレーは元々、涼河とふうたがメールでやりとりしてた話だったんです。
メールでやりとりしていた時点で、15話まで進んでます。
話の筋は変えない方針なので、15話まではもっと速いペースで更新できると思ってたんですが…
そうもうまく行きませんね;
15話までバビューン!と行きたいんですけれど;
個人的には南さんを激応援。
因みにこの話のタイトルは涼河が止めてくれなきゃ「リアル鬼ごっこ」でした(笑)

2005.01.13  ふうた